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交通事故の「自覚症状」「他覚症状」とは?

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交通事故での怪我

交通事故に遭ってケガをすると、いろいろな症状があります。

症状の種類として「自覚症状」と「他覚症状」があるのをご存知でしょうか?

これらについての正確な知識があると、より高額な賠償金の請求を行うことが可能となるので、これを機会に是非とも押さえておきましょう。
今回は、交通事故の「自覚症状」と「他覚症状」について、ご説明します。

 

1.自覚症状と他覚症状とは

交通事故で傷害を負ったときの症状には、自覚症状と他覚症状の2種類があります。

1-1.自覚症状とは

自覚症状とは、被害者が自分で感じられる症状のことです。

痛みのように、被害者は自覚していても、他者からは認識できない症状のことを言います。
たとえば、以下のようなものがあります。

  • 痛い
  • しびれる
  • かゆい
  • 吐き気
  • めまい、耳鳴り
  • 違和感

上記のような症状は、患者が訴えるからこそ「そうなのか」とわかる症状です。
第三者が見て調べてもわかるものではありませんし、はっきりと証明することも難しいです。

1-2.他覚症状とは

これに対し、他覚症状とは、医師などの第三者が客観的に感得できる症状のことです。

たとえば、傷口が開いて出血している場合や骨折している場合などには、症状が外見上明らかです。
このようなとき、「他覚症状」や「他覚的所見」があると言われます。
他覚症状の例としては、以下のようなものがあります。

  • むくみ
  • 骨折
  • 皮膚の変色
  • 皮膚の温度変化(異常に高いまたは低い)
  • 筋力、握力の低下
  • 筋電図の異常
  • 筋骨の萎縮、可動域制限
  • 腱反射が弱くなっている

上記のような症状がある場合、患者が訴えなくても明らかに他者が認識することができます。

2.自覚症状が問題になる場面

それでは、交通事故で自覚症状や他覚症状が問題になるのは、具体的にどういったケースなのでしょうか?

以下ではまず、自覚症状が重要なポイントとなる場面をご説明します。

2-1.交通事故直後に自覚症状がないケースが多い!

交通事故で自覚症状が問題になるのは、事故直後のタイミングです。

事故直後は、興奮状態になっているので痛みを感じにくくなっています。
そこで、重大なケガをしているにもかかわらず、自覚症状がないため物損事故として届け出てしまうのです。

また、すぐには自覚症状が出にくく、数日が経過してから自覚症状が現れる場合があります。
具体的には、以下のようなケースで、特に重大な問題が発生しやすいです。

2-2.むちうちのケース

たとえば、追突事故などの被害に遭い、首や腰が通常と異なる形に曲がったときなどには、頸椎や腰椎を捻挫することがあります。

このような症状を「むちうち」と言います。

むちうちになった場合、事故直後には自覚症状がないことが多いです。
そこで、被害者としては、ケガをしていないと考えて、物損事故として届出をしてしまうことがあります。

また、ケガをしていないと思っているため、病院に行くこともありません。

2-3.脳挫傷のケース

より重大な結果に結びつきやすい例として、脳挫傷のケースがあります。
交通事故で頭部に損傷を受けたとき、頭蓋骨が陥没するなどして脳内出血が起こることがあります。

ただ、この場合、当事者としては「頭を強く打った」程度の自覚しかないことがあり、強い痛みを感じないケースがあるのです。
そこで被害者は、「たいしたことがない」と考えて、病院に行かないことがあります。

しかし、脳内出血は、放っておくと非常に危険です。だんだんと脳の機能が失われ、通常の判断能力がなくなり、ついには意識混濁状態となって死に至ります。

 

3.自覚症状がなくても人身事故として届け出よう

自覚症状がないため物損事故として届け出ても、その後数日して、痛みやしびれが発生することがあります。

物損として届け出たままだと、いろいろな不都合があるので、以下で具体的に確認していきましょう。

3-1.相手の保険会社に治療費や入通院慰謝料を請求できない

物損事故として届出をすると、物損事故の交通事故証明書しか発行されません。

すると、保険会社では「物損事故」としてしか取り扱われません。
そうなると、人身事故に固有の損害については、賠償金を受けとることができなくなります。

たとえば、以下のような賠償金は、すべて人身事故固有の損害なので、一切支払われることがありません。

  • 治療費
  • 付添看護費用
  • 入院雑費
  • 通院交通費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料

治療費も一切支払われないため、治療にかかる費用はすべて被害者の自腹になってしまいます。
仕事を休んでも休業補償がありませんし、どれだけ長く通院治療をしても、一切の慰謝料が支払われません。

3-2.自賠責保険に請求できないおそれがある

物損事故

物損事故として届出をしてしまったら、相手の自賠責保険に対する賠償金の請求もできなくなってしまうおそれがあります。

自賠責保険は、人身事故のケースにしか適用がないためです。
後に、物損事故から人身事故への切り替えができれば適用してもらえますが、それができないと、自賠責保険からの支給は受けられません。

3-3.政府保障事業を利用できない

物損事故として届け出ると、政府保障事業も利用できない可能性があります。

政府保障事業は、相手方が自賠責保険に加入していない場合や加害者不明のケースで利用できる補償で、自賠責保険の代わりになるものです。
支給内容や支給条件も自賠責保険と同じなので、人身事故のケースでしか適用されません。

そこで、物損事故として届け出てしまったら、相手が無保険やひき逃げのケースにおいて、一切の補償を受けられなくなってしまうおそれがあります。

3-4.人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険、無保険車傷害保険も受けとれない

被害者が自動車保険に加入している場合、人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険をつけていることが多いです。
相手が無保険の場合に備えて無保険車傷害保険に加入していることもあります。

ただ、これらは被害者が交通事故によって死傷した場合に支払われる保険給付です。
人身事故のケースにのみ適用されるものであり、物損事故のケースでは適用されません。

そこで、自覚症状がないからといって物損事故として届け出てしまったら、こうした自分の保険会社からの保険給付も受けとることができなくなってしまいます。

 

3-5.後遺障害の認定を受けられない

人身事故として届出をしないと、後遺障害の認定を受けることもできません。

後遺障害は、交通事故の受傷によって発生し、治療をしても完治せず残ってしまった症状です。
後遺障害の発生は、人身事故であることが前提です。
認定を受けるときには自賠責保険に請求を行いますが、自賠責保険は人身事故のケースでしか関与しません。

そこで、物損事故のままでは、どんなに酷い後遺症が残っていても、後遺障害として認めてもらうことができないのです。

後遺障害が認定されないと、後遺障害慰謝料も後遺障害逸失利益も支払われないため、賠償金の金額が大きく減額されてしまいます。

むちうちのケースでも後遺障害認定が行われる例がたくさんあるので、自覚症状がないからといって、物損事故として届け出ると大きな損失が発生します。

3-6.自覚症状がなくても、人身事故として届け出るべき

以上のように、自覚症状がないからといって物損事故として届出をすると、たくさんの不利益を受けることになります。

そこで、事故時に身体や頭に衝撃を感じたら、たとえすぐに痛みなどの症状が出なくても、必ず人身事故として届出をしましょう。

ただ、警察は、なるべく物損事故にしてもらった方が、仕事が楽と考えていることがあります。
そこで、被害者に対して「物損でいいですね?」とか「いったん物損としておいても、後から人身事故にすることができるから」などと言って、物損事故にするよう勧めてくるケースもあります。

しかし、必ず人身事故への切り替えが認められるとも限らないので、このような言葉に乗ってしまうのは危険です。

また、加害者も、物損事故にしておいたら良いのではないか?

と言うことが多いです。
人身事故になると、加害者の運転免許の点数が大きく加算されてしまいますし、刑事罰が適用されるおそれもあるからです。
物損事故なら基本的に加害者に免許の点数加算はありませんし、刑事罰もないので、加害者にとっては非常に有利になります。

しかし、人身事故にしないと、被害者にとって不利益が大きいのです。

警察官に嫌な顔をされるからと言って、遠慮をする必要はありません。
加害者に遠慮する必要も、もちろんありません。
身体や頭に衝撃を受けたのなら、自覚症状がなくても、人身事故であると主張しましょう。

被害者が「腰を打った」「首を打った」「頭を打った」などと主張しているのに、警察や加害者から「絶対に物損事故にしろ」などと強要されることはありません。

3-7.物損事故から人身事故に切り替える方法

本来は人身事故なのに、事故当時自覚症状がなかったために物損事故として届け出てしまうケースがあります。

この場合、人身事故に切り替えることができます。
ただし、切り替えをするためには早期に対処することが必要です。
遅れると、切り替え申請をしても受け付けられなくなってしまうからです。

人身事故への切り替えを行うためには、まずは病院へ行って診療を受け、医師に診断書を作成してもらう必要があります。
事故後に病院に行っていなかった場合には、速やかに病院に行きましょう。

事故から病院に行くまでに日数が経過していると、そのケガが交通事故とは無関係なものだと言われてしまうおそれがあるので、急ぐ必要があります。
診断書を受けとったら、すぐに警察署に持参して、「人身事故への切り替え申請」をしましょう。

事故から日が浅かったら、警察で切り替え申請を受け付けてもらえなくなってしまいます。
遅くとも、事故後10日以内には、切り替え申請を行いましょう。

 

4.自覚症状がなくても病院に行くべき!

交通事故時に自覚症状がないと、病院にも行かないことがありますが、これもかなりまずい対応です。

痛みやしびれを感じないのに病院に行けと言われても違和感があるかもしれませんが、交通事故後の対応では重要なことです。

たとえば、脳挫傷の場合には、自覚症状がなくても脳内出血が起こっていて、死が迫っているケースもあります
むちうちの場合にも、すぐに病院を受診しておかないと、後に「やっぱり事故でケガをしていた」と言っても、「事故とは関係のないケガを、事故のせいにしようといている」と言われて賠償してもらえなくなるおそれがあります。

事故による受傷を認めてもらえない場合、物損に関する損害賠償しか受けとることができなくなるので、被害者にとっては非常に大きな損失となります。

そこで、事故時に自覚症状がなくても、とにかく一度、その日中か翌日中には整形外科を受診しておきましょう。

5.自覚症状しかない場合の入通院慰謝料減額

交通事故では、入通院慰謝料の計算をするときにも自覚症状が問題になります。

入通院慰謝料は、事故でけがをしたことによって発生する慰謝料です。
金額については相場が決まっていて、入通院期間が長くなると、金額が上がります。

ただ、むちうちで自覚症状しかない場合や軽度の打撲などのケースでは、入通院慰謝料が3分の2程度に減額されます。
なお、このような取扱いは、裁判所で採用されている裁判基準によるものです。任意保険基準や自賠責基準では、こういった減額は基本的にありません。

ただ、任意保険基準や自賠責基準は、そもそもの金額が裁判基準より低いので、自覚症状がないために3分の2に減額されたとしても、任意保険基準や自賠責基準よりはなお高額な金額となります。

 

6.他覚症状が問題になる場面

次に、交通事故で他覚症状が問題となる場面を確認しましょう。

6-1.他覚症状がないと、後遺障害の認定を受けにくい

他覚症状が特に重要なポイントとなるのは、後遺障害等級認定の場面です。

後遺障害の認定を受けるためには、自賠責保険における審査を受けて、症状があると認定されなければなりません。
このときに認定対象となるのは、基本的に「他覚症状」です。

他覚症状がないと、後遺障害の等級認定を受けることが難しいということです。
それは、自覚症状によって後遺障害の認定を行うと、不都合があるからです。

まず、自覚症状は人によって感じ方が違いますし、表現方法も異なります。
痛みやしびれなどを強く感じやすい人は、激しく自覚症状を主張するかもしれません。

また、大げさに騒ぐ人はやはり大きく痛みなどを主張するでしょう。

これに対し、痛みに鈍感な人は、あまり症状を主張しないでしょうし、我慢強い人も、やはり症状を医師に言わないかもしれません。
このように、自覚症状を基準にすると、同じようにケガをしているのに、大げさに主張する人の方が後遺障害認定を受けやすくなって、不公平になってしまいます。

また、自覚症状を基準にすると、本当は痛くないのに「ものすごく痛い」と主張して、保険金をだまし取ろうとする人が現れるおそれもあります。
このような問題があるので、後遺障害認定の場面では、基本的に他覚症状を基準にするのです。

他覚症状なら、画像等の検査結果から明らかなので、人によって認定が異なり不公平になることもありませんし、保険金詐欺も不可能となります。

6-2.画像診断が重要

後遺障害認定の際に、他覚症状として特に重要なのが画像診断です。

画像診断とは、レントゲン検査やMRI、CT画像などの検査結果のことです。
画像は嘘をつきませんし、患者の故意によって作出したり変化させたりすることなどができないためです。

たとえば、指の可動域検査を行う場合、患者が動かないフリをすることによって、可動域を狭く見せかけることも可能ですが、画像の場合、こうした作為が介入する余地がありません。

そこで、後遺障害認定の場面では、過剰とも言って良いほど画像が重視されるのです。
他の場面で「他覚的所見」と呼ばれる検査結果なども、後遺障害認定の場面ではさほど重視されず、画像内容が偏重されてしまいがちです。

6-3.他覚症状=画像診断ではない

それでは、交通事故では画像診断がないと、一切後遺障害認定を受けることができないのでしょうか?

それは、等級によって異なります。

高い等級を目指すなら、画像診断がないと認定してもらうことは不可能です。
ただ、14級であれば、画像に異常が見られなくても認定してもらうことができるケースがあります。

他の等級の場合には、症状を「証明」する必要があるのに対し、14級の場合、症状を明確に「証明」できなくても、事故状況や受傷状況、治療経過などからして、後遺障害が残っていることを「合理的に推認」できる場合には、後遺障害を認定してもらうことができるからです。

また、そもそも、他覚症状(他覚的所見)は、第三者が客観的に把握できる症状ですから、画像診断に限られるものではないのです。
そこで後遺障害認定を受けようとするとき、画像以外の検査方法を見逃していないか、よく検討する必要があります。

6-4.画像診断結果がないときに後遺障害認定を受ける方法

それでは、画像診断結果がないときに後遺障害認定を受けるには、どのようにしたら良いのでしょうか?

この場合、まずは検査方法の見直しが重要です。

精度の高い画像診断を試してみる

たとえば、すでに画像診断を受けていて異常が写っていない場合でも、他の検査機器を使ったら、異常を発見できるケースがあります。

レントゲン検査しかしていないならMRI検査を試してみるのも1つの方法ですし、同じMRI検査機器にも、精度の違いによって症状が写るケースと写らないケースがあります。
そこで、より精度の高い検査機器を揃えている病院を訪ねて、再検査を受けてみると良いです。

神経学的検査を行う

また、画像診断しか受けておらず、他の検査方法を試していない場合には、他の方法による症状の説明を試みるべきです。

たとえばむちうちの場合には、神経学的検査を受ける方法があります。
神経学的検査とは、観察(視診)や触診、脊髄反射検査や姿勢反応、脳神経検査、感覚検査などを実施することで、患者に発生している異常を発見する検査方法です。

たとえば、関節可動域検査、徒手筋力検査(MMT)、筋委縮検査、腱反射・病的反射テストなどがあります。

頸椎捻挫(首のむちうち)のケースでは、ジャクソン(Jackson)テストやスパーリング(Spurling)テストが有効です。

腰椎捻挫(腰のむちうち)の場合には、SLR(Straight Leg Raising)テストやFNST(Femoral Nerve Stretch)テストが有効です。

その他、皮膚の近くに異常が発生していないかどうかを調べる知覚検査や、脊髄・神経根の障害を調べるための電気生理学的検査(筋電図検査・神経伝導速度検査)などがあります。

7.後遺障害の認定をやり直す方法

7-1.後遺障害認定に対する異議申し立て

当初の後遺障害認定請求の際に画像診断などの検査資料が足りず、認定を受けられなかった場合でも、その後検査方法を工夫することなどにより、後遺障害を証明または推認することができるようになるケースがあります。

このような場合には、後遺障害の等級認定の手続きを、やり直すことが可能です。

この手続きのことを、「異議申し立て」と言います。

異議申し立てをするときには、異議申立書を作成し、相手の自賠責保険に対して提出するだけで済みます。特に費用はかかりません。
ただ、単に申立書を出しただけでは認定結果が変わることはありません。

必ず、新しい診断書を取得して、新たな検査結果を提出する必要があります。
異議申し立ての審査を行う機関は、1回目の審査を行った機関と同じ「損害保険料率算定機構」だからです。

7-2.異議申し立てを成功させるポイント

異議申し立ての対策

異議申し立てによって後遺障害を認定してもらったり、より高い等級の認定をしてもらったりするためには、1回目の請求の際にどうして失敗したのかを明らかにして、対策を練る必要があります。

認定が認められない理由には、以下のようなものがあります。

  • そもそも、後遺障害に該当する症状を主張できていない
  • 後遺障害を証明できていない
  • 事故との因果関係を否定されている

画像診断で異常が見られないので、他覚的所見が認められない場合は、上記のうち「後遺障害を証明できていない」ケースです。

ただ、他の理由も併存するかもしれないので、後遺障害の認定理由書をよく見て、何が問題だったのかを分析しましょう。
他覚的所見が認められず、症状の証明ができていない場合には、上記で説明したように検査をやり直し、その結果を前提として、医師に新たに診断書を作成してもらいましょう。

ただ、被害者個人には後遺障害に関する手続きの知識が不足していることが多く、医学的な知識も不足しており、1人でこうした対応をとることが難しいです。
効果的に異議申し立てをするためには、弁護士の力を頼りましょう。

なお、自賠責保険に対する異議申し立ては、何度でも請求することができます。ただ、同じ主張しかしないのなら、何度やっても同じ結果になります。

7-3.自賠責紛争処理機構を利用する

自賠責紛争処理機構とは

相手の自賠責保険に対して異議申し立てをしても認められない場合、自賠責紛争処理機構という機関を利用することで、後遺障害の等級認定や等級の変更をしてもらえる可能性があります。

自賠責紛争処理機構は、自賠責保険に関する紛争解決に特化したADRです。
ADRとは、裁判外の紛争処理機関で、法律の専門家などが関与して、当事者間の紛争解決を目指すものです。

自賠責保険による保険金の支給や不支給などについても審査対象となるので、後遺障害等級認定結果に不満があるなら、ここに訴え出ることができます。

自賠責紛争処理機構への申請方法

自賠責紛争処理機構に申立をするときには、定められた紛争処理申請書に必要事項を記入して、東京本部か大阪支部に提出します。
郵送でも申請は可能です。

自賠責紛争処理機構は自賠責保険とは異なるので、同じ申請内容でも異なる結果が出る可能性はあります。
ただ、画像診断で他覚的所見が証明されていない場合には、機構を利用しても後遺障害を認定してもらうことは難しくなるでしょう。

そこで、やはりこの場合にも、新たに検査を行い、新たな検査資料と新たな診断書をつけて申請を行うべきです。
申請の際、費用はかかりません。

 

書面による審査と決定

自賠責紛争処理機構はADRの1種ですが、話合いによる解決は行われません。

申請があると、相手に対し、期限を定めて意見と証拠資料の提出をするように通知します。
そして、専門の職員が、申請者と相手の保険会社等から提出された書面や資料を検討して「紛争処理委員会」に内容をはかります。

紛争処理医院回では、交通事故の専門知識を持った弁護士や医師、学識経験者等が書面によって審査をします。
当事者が出席して話をすることはありません。

審査手続は非公開なので、当事者であっても審査内容を謄写(コピー)することができませんし、当事者が意見を述べたいときには、書面で提出する必要があります。
審査が終了すると、機構から当事者双方に対し、決定書が送付されてきます。

相手が保険会社や共済の場合には、自賠責紛争処理機構の決定内容に拘束されます。
被害者や加害者本人は拘束されることがないため、不服があれば、裁判に訴えることができます。
また、自賠責紛争処理高に対する審査請求ができるのは1回限りです。

自賠責紛争処理機構で異議を認めてもらうためのポイント

自賠責紛争処理機構においても、異議を認めてほしい場合には、やはりもともとの請求場面とは異なる、説得的な検査資料と診断書が必要です。

別機関なので別の判断が出る可能性があるとは言っても、薄弱な資料しかなかったら、やはり認められない可能性が高くなるためです。
「他覚症状(他覚的所見)」が重要となることを意識しながら、効果的に資料集めと主張を行いましょう。

自分一人では対処が難しいと感じるなら、交通事故に強い弁護士に相談すると良いでしょう。

 

まとめ

今回は、交通事故でケガをしたときの「自覚症状」と「他覚症状」について解説しました。

どちらも、相手に適切に損害賠償を求めるために非常に重要です。
まず、事故直後は自覚症状がなくても、必ずすぐに病院を受診しましょう。
間違って物損として届け出てしまったら、速やかに人身事故への切り替えを行います。

また、後遺障害等級認定の場面では、「他覚症状」が非常に重要です。
画像診断をメインにしますが、それ以外の方法でも他覚症状を証明できるケースがあります。

また、14級の後遺障害の場合には「証明」までは不要とされているので、適切な方法で申請手続きを勧めましょう。
交通事故後の治療と損害賠償請求を適切に進めるためには、弁護士に手続を依頼することが重要です。

困ったときには、まずは交通事故に強い弁護士に対応を相談しましょう。

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  • この記事を書いた人
陽子福谷

福谷 陽子(元弁護士)

元弁護士。平成16年より交通事故や離婚、債務の問題を多く取り扱う弁護士として活躍。平成19年4月陽花法律事務所を設立。現在は、体調不良により、法律問題をわかりやすく解説するライターとして活躍中。

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