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交通事故で健康保険や労災保険を利用できる?

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交通事故に遭ったときには、病院に入通院して治療を継続する必要があります。

しかし、相手の保険会社が治療費を支払ってくれないケースもあります。

自分で治療費を負担して通院するとき、健康保険や労災保険を利用することが出来るのでしょうか?

今回は、交通事故の治療に「健康保険」や「労災保険」を利用することができるのかについて、解説します。

 

1.相手の保険会社は、治療費を支払ってくれるとは限らない

交通事故が原因でケガをしてしまった場合、入院や通院による治療を継続しなければなりません。

治療費は、加害者に請求することができますが、加害者の保険会社が必ず病院に立替払いをしてくれるとは限りません。
事故後、しばらくの間は治療費が支払われても、突然「もうこれ以上支払えない」と言われて打ち切られることがあります。

また、入院中には治療費が支払われても、通院に切り替わると、治療費を支払ってもらえなくなることもあります。
このように、相手の保険会社が治療費を打ち切ってきたとき、通院を辞めてしまう人がいますが、そのような対応は不適切です。

通院治療は、必ず「症状固定」するまで継続しなければなりません。
そうしないと、必要な治療を受けられなくなり、入通院慰謝料も減額されてしまうからです。

しかし、病院に通院するためには高額な治療費がかかります。
全額を自費で支払うと非常に大きな負担がかかるので、軽減する方法を検討しなければなりません。
それが、健康保険や労災保険の利用です。

2.健康保険を利用することができる

2-1.健康保険とは

健康保険は、基本的に国民が全員加入している保険です。

会社員なら会社の社会保険に加入しているでしょうし、自営業者や無職の人は、市町村の国民健康保険に加入しているでしょう。

病気やケガをしたときには、健康保険を使って治療を受けることができます。
健康保険を利用すると、病院に支払う治療費の金額が、1割~3割になり、残りの部分は健康保険組合や市町村が支払をしてくれます。

2-2.交通事故患者も、健康保険を利用できる

交通事故の場合、健康保険を使えないと言われることがあります。
しかし、実際にはそのようなことはありません。

交通事故患者が健康保険を使うことができないとする法律はありませんし、そのような制度も存在しません。
むしろ厚生労働省の通達では、「犯罪や交通事故による被害によって発生した傷病は、一般の保険事故と同様に、医療保険給付の対象となる」としています(平成23年8月9日)。

そこで、交通事故患者が健康保険の利用を躊躇したり遠慮したりする必要は、一切ありません

2-3.病院が健康保険の利用を断る理由は?

それでは、一般的にはどうして「交通事故の場合に健康保険を利用できない」と思われていることがあるのでしょうか?

世間で、このような噂が起こるのは、病院側の対応が原因です。
病院の中には、交通事故患者への理解がなく、健康保険を利用したいという交通事故患者を断るケースがあります。

健康保険を利用しない場合、通常は自賠責保険を利用することとなりますが、その場合、自由診療となるので、病院が自由に診療を行い、費用も高額にすることができます。
また、自由診療の場合、健康保険が適用されない高度な医療も実施することが可能となります。

これに対し、健康保険を利用されると、健康保険の点数によって管理されるため、医療費が低額になって病院の収益が落ちてしまいます。
また、健康保険が適用される医療に限定されて、医師が妥当と考える医療を提供できないことがあります。

このようなことから、病院側は、健康保険を使いたいという患者の要望があっても、断るケースがあるのです。

しかし、上記のような理由は、病院側の理屈です。
「健康保険を適用されたら良い医療を提供できない」と言うのも、そもそもそういった医療を患者が望んでいないなら、通らない理屈です。

そこで、交通事故患者としては、遠慮なく健康保険の適用を申請したら良いのです。

 

3.健康保険を利用する方法

交通事故のケガの治療に健康保険を利用したい場合、どういった方法をとれば良いのでしょうか?

この場合、まずは加入している健康保険組合に連絡をいて、「第三者行為による傷病届」という書類を提出する必要があります。
これは、加入している健康保険組合や市町村(国民健康保険)に申請をすると書式をもらうことができるので、必要事項を埋めていくと良いです。

これを提出することにより、後日健康保険組合が、支払った医療費を加害者本人に対して請求することとなります。

3-1.病院が健康保険の利用を断った場合の対処方法

健康保険を利用して病院に通院したいと言ったとき、病院側がこれを断ることがあります。
その場合、どのようにしたら良いのでしょうか?

まずは、病院と交渉を行う

まずは、病院と交渉をしてみることです。

交通事故患者が健康保険を利用することができないとする根拠がないこと、健康保険を利用してもよいという厚生労働省の通達があることなどを主張しましょう。
また、健康保険組合に提出した「第三者行為による傷病届」の写しを提示して、「このように、制度として認められているのだから、使わせてほしい」と言ってみるのも良いです。

転院する

このような説明をしても、病院側が頑なで、健康保険の利用に応じないことがあります。

その場合には、病院を転院することをお勧めします。

交通事故後にお世話になる病院には、後遺障害の等級認定を申請するときにも協力してもらわなければなりません。
そのためには、交通事故患者に理解を持ち、親身になって対応してくれる医師が望ましいです。

ここで、自分の病院の収益のために、健康保険の利用も認めないような病院が、将来的に交通事故患者のために親身になってくれるとは到底考えられません。
そこで、そのような病院であれば、早めに転院をして、より協力的な病院への通院を開始して生来に備えておく方が、賢いと言えます。

3-2.医師を弁護士に紹介してもらえるケースもある

転院すると言っても、次の病院をどうやって探したら良いかがわからないことがあるでしょう。

病院は、口コミや評判、ホームページなどを参考にして自分で探しても良いですが、交通事故に強い弁護士に相談してみるのも1つの方法です。

交通事故に力を入れている弁護士は、後遺障害等級認定などの関係で、提携関係や協力関係にある医師の知り合いがあることが多いためです。
弁護士のウェブサイトにも、「医師と提携しています」「協力医がいます」などと書かれているものが見られます。

困ったときには、一度弁護士に相談してみると良いでしょう。

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4.自己負担分は、後に相手に請求できる

健康保険を利用する場合、保険から全額の治療費を支払ってもらえるわけではあありません。
多くのケースでは3割の自己負担分が発生します。

健康保険で負担した治療費については、後日加害者に支払いを請求することができます。
示談交渉が成立したときや、裁判で判決が出るとき、相手からまとめて支払いをしてもらうことができるのです。

ただ、そのためには自分が支払った金額についての資料をとっておくことが大切です。
今は医薬分業が進んでいるので、病院に支払う治療費と薬代の領収証が別々になっていることも多いです。

診療関係で発生した費用については、間違いなくすべてとっておいて、後で確実に相手に請求できるようにしましょう。

5.労災保険を利用することができる

交通事故に遭ったとき、労災保険を利用して通院することも可能です。

労災保険とは、業務上の事故によってケガや病気をした場合に利用できる保険です。
会社に雇用されている場合、労災保険への加入は会社の義務なので、どのような人も必ず労災に加入しています。

労災保険の保険料は、会社が負担しているので、労働者側の給料からは天引きされていませんが、事故に遭った場合には、労働者の方から労災を申請することが可能となります。
労災に加入しないことは違法ですが、中には労災保険の手続をしていない会社があります。

そもそも加入の手続をとっていないこともありますし、加入していても掛け金を支払っていないケースがあります。
そのような場合でも、「事故後適用」という手続きを利用することで、労災を適用してもらうことができるので、諦める必要はありません。

 

6.労災保険を利用できるケース

交通事故に遭ったとき、どのような場合でも労災保険を利用できるわけではありません。

労災が適用されるのは、事故が業務中に発生した場合のみです。

たとえば、社用車を運転していたとき、仕事中に外を歩いていて車にはねられたケース、自転車でお使いに行っている途中で事故に遭ったケースなど、さまざまです。

また、通勤中に発生した事故も、業務中の事故として労災保険の適用を受けることができます。
たとえば、マイカー通勤をしている場合に、通勤や会社帰りに事故に遭ったら、労災を適用してもらうことが可能です。

7.健康保険より労災保険が優先

交通事故後の治療で労災保険が適用されると、健康保険とどちらが優先されるのでしょうか?

この場合、労災保険が優先されます。

業務中の災害は、労災保険が適用される前提で、健康保険が適用されないと定められているためです。
そこで、業務中や通勤途中に事故に遭った場合、健康保険ではなく労災保険を利用する必要があります。

8.労災保険では、自己負担部分がない!

労災保険を使って入通院治療を行う場合、健康保険と違って患者の自己負担部分がないことが大きなメリットです。
また、労災保険には限度額もありません。

そこで、治療にどれだけの費用がかかっても、労災が補填してくれるので、被害者としては安心して症状固定するまで治療を継続することができます。

9.労災保険と自賠責保険の関係

労災保険によって治療を行うとき、「自賠責保険」との関係が問題になることがあります。

保険会社が治療費を打ち切ってきたときには労災保険を利用するしかないのですが、事故当初の段階などでは、保険会社が自賠責保険からの治療費を支払ってくれることがあるためです。

ただ、このとき、「労災保険と健康保険の両方を適用してもらう」ことはできません。
保険の2重適用は禁止されているからです。
両方適用される可能性があるとき、被害者は、どちらを利用するか選ばなければならないのです。

9-1.労災保険と自賠責保険の優先順位

労災保険と自賠責保険のどちらも利用できるときどちらを優先すべきなのでしょうか?

労災保険は厚生労働省、自賠責保険は国土交通省の管掌です。
そして、省庁間の通達では、「労災保険よりも自賠責保険を優先すべき」と定められているようです。

そこで、労働者が労働基準監督署に相談に行くと、「自賠責保険を先に使ってはどうですか?」と言われることがあります。
しかし、上記の通達は省庁間のものであり、国民に強制されることはありません。

そこで、交通事故患者が労災保険によって治療を受けたい場合には、当初から自賠責保険を使わずに労災保険を利用することも可能です。

9-2.労災保険と自賠責保険の切り替えについて

自賠責保険を利用していたけれどもその後労災に切り替えたり、逆に労災から自賠責保険に切り替えたりすることはできるのでしょうか?

自賠責保険から労災への切り替えは可能

まず、自賠責保険から労災保険への切り替えは可能です。
この場合、自賠責保険から支給された保険金については、労災保険では不支給扱いとなります。
このことで、保険金の2重払いを防いでいます。

労災保険から自賠責保険への切り替えは不可能

反対に、労災保険から自賠責保険への切り替えをすることはできません。

そこで、いったん労災保険を選択したら、その後ずっと労災保険から治療費の支給を受け続けることとなります。

ただ、労災保険を利用した場合、労災保険から自賠責保険に対し、支払額の求償を行います。
そこで、最終的な負担額としては、自賠責保険が限度額まで支払を行い、それを超過した部分を労災が負担することとなります。

10.労災保険を利用するメリット

労災保険を利用すると、自賠責保険と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか?

以下で、順番に見ていきましょう。

10-1.限度額がない

まず、労災保険による治療費支給には限度額がないことが大きなメリットです。

どれだけ長く通院にかかり、治療費の金額が膨らんでも全額の支払いを受けることができます。
これに対し、自賠責保険の場合、傷害のケースでは120万円が限度額となります。

120万円を全額治療費に充てられるわけではなく、入通院慰謝料や通院交通費などが発生したら、そちらにも振り分けなければなりません。
そこで、通院が少し長びいてくると、すぐに限度額いっぱいになってしまいます。

治療が長びいたときに相手の保険会社が治療費の打ち切りを打診してくるのも、実は自賠責保険の限度額にひっかかるためです。
自賠責保険の限度を超えると、任意保険会社の負担となるので、相手の保険会社は、自社の負担を減らすため、自賠責の限度額が一杯になった頃に、「早く治療を終わるように」と言ってくるのです。

労災保険を利用すると、相手の保険会社の治療費負担が発生しないので、相手から「治療を辞めるように」などと言われる可能性も相当程度、低下します。

10-2.重過失減額が行われない

自賠責保険には「重過失減額」があります。

これは、被害者に重大な過失があるとき、保険の給付金が減額されることです。
具体的には、以下の通りとなります。

  • 人身事故(傷害)のケース

事故で被害者がケガをして、後遺障害や死亡などの結果が発生しなかった場合には、被害者の過失割合が70%以上になったときに、保険給付の金額が20%減となります。

  • 人身事故(死亡、後遺障害)のケース

交通事故によって被害者が死亡したり後遺障害が残ったりした場合、以下の通り、保険給付金額が減額されます。

被害者の過失割合が70%以上80%未満…20%減

被害者の過失割合が80%以上90%未満…30%減

被害者の過失割合が90%以上…50%減額

そこで、被害者の過失割合が高い場合、自賠責保険を使おうとすると、大きく保険金額が減額されて、満足な治療費の支給を受けられないおそれがあります。
労災保険の場合、こうした重過失減額がないため、常に全額の給付を受けることができるメリットがあります。

11.労災保険を利用するデメリット

それでは、労災保険を利用するときにデメリットはあるのでしょうか?

11-1.手続きするのが面倒

1つは、労災申請の手続を行うのが面倒なことでしょう。

自賠責保険の適用を受けるときには、通常相手の保険会社が窓口になるので、被害者自身は相手に事故の報告をして通院先の病院を告げたら、後は自動的に治療費の支払いをしてもらうことができます。

これに対し、労災保険を適用してもらうためには、労働基準監督署宛に必要書類を提出するなど、面倒な手続きが必要となります。

11-2.会社に嫌な顔をされることがある

 

労災保険を利用したいと言ったとき、会社は常に協力的とは限りません。
どちらかというと、嫌な顔をされることも多いです。

労災の申請書類には会社が書くべき欄もあるのですが、その記入を断られるケースもあります。
会社に居心地が悪くなると困るので、何となく労災申請を遠慮してしまうケースもあります。

ただ、労災申請は労働者の権利なので、遠慮する必要はありません。
また、労災を申請したことによって不利益な取扱をすることなどは許されません。

利用できるのであれば、遠慮する必要はないので、堂々と申請をして適用してもらうと良いでしょう。

12.労災を利用すべきケース

労災保険と自賠責保険の両方の適用可能性があるとき、特に労災保険の利用をお勧めするケースをご紹介します。

12-1.保険会社から治療費を打ち切られた

当初は自賠責保険を利用して交通事故後通院を継続したけれども、保険会社が治療費の支払いを打ち切ってくることがあります。

この場合には、労災保険を利用しましょう。
労災保険を利用すると限度額もありませんし、誰からも打ち切りを言われないので、安心して症状固定するまで通院を継続することができます。

12-2.自分の過失割合が高い、過失割合が争いになっている

被害者の過失割合が高い場合や、過失割合が争いになっているケースでも、労災保険を利用する価値があります。

自賠責保険の場合、被害者の過失割合が7割を超えると、保険金が大きく減額されてしまうからです。
労災保険であれば、過失割合にかかわりなく全額の支給を受けられるので、安心して通院を継続することができます。

12-3.相手が無保険

事故の加害者が無保険(自賠責保険に加入していない)のケースでも、労災保険を利用する価値があります。

相手が無保険の場合、自賠責保険からの支払いを受けられないので、加害者本人から直接支払いを受けるしかありません。
しかし、加害者には資力がないことも多く、示談が成立するまでには相当の時間がかかってしまうことも多いので、早めに労災保険を申請して適用してもらうと、安心して治療を継続することができます。

12-4.ひき逃げなどで、相手方が不明

ひき逃げをされると、加害者は不明です。

この場合、加害者の保険会社ばかりか、加害者本人に賠償金請求を行うことはできません。
ここで、労災保険を利用すると、必要な治療費を労災保険が負担してくれるので安心して通院することができます。

もし労災を使わなかったら、全額被害者が自己負担しなければならない可能性もあるので、労災が非常に役立つシーンと言えます。

12-5.基本的に、労災保険の方が得になりやすい

労災保険と自賠責保険の両方を利用できる場合、基本的には労災保険を適用した方が被害者にとっては有利になりやすいです。

労災保険には限度額がありませんし、重過失減額もないため、十分な治療を受けやすいからです。
治療費を労災保険から支出すると、自賠責保険の枠は、入通院慰謝料や休業損害などの他の損害項目に振り分けることができるので、結果的に多くの賠償金を獲得できる可能性もあります。

また、労災保険を利用していると、相手の保険会社から「そろそろ治療を終了して示談交渉したい」などと言われて治療費打ち切りに遭うリスクもありません。
健康保険の適用を断る病院はあっても、労災保険の適用を断る病院は少ないです。

そこで、自賠責保険と労災保険の両方を利用できる場合には、まずは労災保険の適用を検討してみると良いでしょう。

13.自賠責保険から労災に切り替える方法

当初自賠責保険を適用して治療を続けていたけれども、相手の保険会社が治療費を打ち切ってきたために労災保険に切り替えたいケースがあります。

この場合、どのような手続きをとったら良いのか、ご説明します。
当初から労災申請する方法も同じです。

13-1.労働基準監督署宛に申請する

労災保険の適用を受けたい場合には、労働基準監督署に申請を出す必要があります。

多くのケースでは、会社が自主的に申請をしてくれることは期待できません。
むしろ、労働者が申請しようとしているのを知ると、嫌な顔をする企業もあります。

労災保険の申請用の書類は、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードすることができます。http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/03.html

(OCR様式)療養補償給付たる療養の給付請求書_業務災害用(様式第5号)

治療費の申請をするときには、治療を受ける病院を指定しなければなりません。
指定病院以外の病院で治療を受けたときには、別途申請書を提出することで、費用の支払いを受けることができます。

申請書に記入したら、住民票、診断書、出勤簿などの必要書類を用意して、労基所に持っていきましょう。
申請は郵送でもできますが、持参すると、わからないことを確認することや、交通事故の内容や状況を説明することなどができるので、自分で申請手続を行うなら、持参によって申請することをお勧めします。

会社が申請に協力しないケース

労災の申請書には「事業主の署名押印」欄があります。

これは、勤務先に記入してもらうべき欄です。
ただ、会社が労災申請に協力してくれないこともあります。

その場合、「会社が署名押印を拒絶した」ことを用紙に書き、労基署に提出すると受け付けてもらうことができます。
労災は、会社が協力しなくても申請できるので、心配しすぎることはありません。

13-2.調査と決定

労基署宛に申請用の書類を提出すると、調査が開始されます。

調査の際には、労基署の担当者から質問を受けることがあります。
たとえば、ケガの内容や程度、交通事故が発生した状況、業務の内容などについて聞かれることが多いです。
労基署から会社に対し、聞き取り調査が行われることもあります。

調査の際、被害者が自分に有利になると考えられる資料があれば、追加で申請することも可能なので、もしあれば(新たな検査資料や医師の意見書など)提出すると良いでしょう。
調査が終了すると、労災の認定が下りて、治療費の支払いが開始されます。

14.治療費以外の労災給付内容

最後に、労災で受けられる給付内容をご紹介します。

業務中や通勤途中に交通事故に遭った場合、労災保険から、治療費以外の支給も受けることができるので、以下で順番に確認していきましょう。

  • 療養補償給付

まず、療養補償給付があります。
これは、ここまでずっと見てきた治療費のことです。
治療費を申請するときには、療養補償給付を申請しましょう。

  • 休業補償給付

休業損害のことです。
労災の場合、休業4日目から支給が開始します。
労災保険と自賠責保険からの二重取りをすることはできませんが、一部重複しない部分があるので、両方の申請をすると、総額が上がります。

  • 傷病補償年金

事故後、1年6ヶ月以内に完治せず、労災が定める傷病等級に該当するケースで認められる年金です。

  • 障害補償給付

事故後、治療を継続したけれども後遺障害が残ってしまったケースにおいて、支給されます。交通事故自賠責保険の後遺障害と同じ分類と等級になっています。
労災の後遺障害の保証給付を受けるためには、労災でも後遺障害の等級認定を受けなければなりません。
通常、労災保険で認定される等級と自賠責保険で認定される等級は同じになります。
後遺障害の等級が8級以下の場合、自賠責保険か労災保険の両方を受けとることは認められません。
7級以上になると、4年目から受けとることのできる労災保険の「年金」を、自賠責保険とは別に受けとることができます。

  • 介護補償給付

交通事故によって介護が必要になってしまった場合に支給される給付です。

  • 遺族給付、葬祭料

交通事故によって、被害者が死亡したケースにおいて、遺族に支給される給付や葬儀費用です。

 

以上のように、治療費以外にも、労災保険から支給される給付がいろいろとあります。
自賠責保険とは別に受けとることができるものもたくさんあるので、受けとれるものは確実に受けとるようにしましょう。

 

まとめ

今回は、交通事故で健康保険や労災保険を利用する方法について、解説しました。

相手の保険会社から治療費の支払いを打ち切られても、治療を辞めずに症状固定するまで通院を継続しなければなりません。

そのとき、健康保険や労災保険を利用することができます。
病院から健康保険の利用を断られても、あきらめずに健康保険を使える病院を探しましょう。
労災保険を使うと、自己負担分がない上、過失相殺もされず限度額もないのでメリットが大きいです。

労災が適用される事案では、当初から労災保険を適用してもらうと良いでしょう。
今回の記事を参考にして、なるべく負担を小さくしながら交通事故後の治療を適切に受けていきましょう。

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  • この記事を書いた人
陽子福谷

福谷 陽子(元弁護士)

元弁護士。平成16年より交通事故や離婚、債務の問題を多く取り扱う弁護士として活躍。平成19年4月陽花法律事務所を設立。現在は、体調不良により、法律問題をわかりやすく解説するライターとして活躍中。

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